ディスクシリンダーって危ないらしい

2000年代に入ると、急激に増えたピッキングによる侵入盗の犯罪が横行するにいたり、大々的に注意喚起がなされたのが日本の某大手錠前メーカーの「ディスクシリンダー」です。
それまで「安くて頑丈な」錠前として、ディスクシリンダーは多くの住宅メーカーや不動産業界で採用され、関東では実に8割近いシェアを獲得してきました。この空前絶後の大ヒットは、日本中に同じ内部構造をもつシリンダー錠を広く普及させることとなったのです。

侵入盗にとって重要なことのひとつは、解錠するカギの研究です。そうした意味で、最も広く使用されている錠前の構造こそ、もっとも研究すべき対象だったのでしょう。さらに「ディスクシリンダー」は、耐久性を向上させるために稼働メカニズムという点では単純化されていました。故障が少ないことは非常に良いことなのですが、単純な内部構造はピッキングするにも好都合だったのです。

ピッキング犯罪が話題となったころ、よくテレビ番組ではそのディスクシリンダーを対象にプロの鍵師がピッキングを行い、ほんのわずかな時間で解錠してしまう様子が映し出されていました。番組上の演出を疑ってしまうほどの早業は、熟練した技術の持ち主であったこともさることながら、当該ディスクシリンダーがいかに「研究」され尽くされていたかを如実に示していたと言えるでしょう。

このディスクシリンダーのカギ穴が、縦のくの字になっていたため、世間一般ではそうした外形のカギ全般が危険であると認識されましたが、本来カギ穴の形状は、縦でも横でも関係ありません。もっとも当時のシェアが8割近かったことを考えれば、縦のカギ穴の錠前はまさに「ほとんど」そのディスクシリンダーであったとも言えるでしょう。
現在、そのディスクシリンダーは廃止となり、新規購入では入手できなくなりました。業界内では、現状使用されているものについても、順次交換していくべきであるとしています。