サムターン回しを回避するため防犯グッズを買いに行く

うちのお父さんは熱しやすく冷めやすく、思いたったらすぐ行動のせっかちだ。僕も妹もそんなところはなく、お母さんがお父さんと真逆の性格だから、僕ら子どもはお母さんに似たのだろう。妹が1か月後にやる運動会のパンフレットを持ち帰れば、それを見たお父さんは、すぐにでもマラソンの練習を始めるべきだと、夕飯後に妹と僕を連れてショギングに出ようとする。それまでやっていなかったジョギングなんかすれば、妹は食後で気分が悪くなるし、僕も翌日は筋肉痛だ。3日か4日はお父さんに付き合うが、お父さんはすぐに飽きてしまい、運動会が近づく頃にはすっかり興味を失くしている。

うちのマンションのお向かいにあるマンションで空き巣被害が出れば、お父さんは詳細を聞いて来てすぐに自宅の防犯について思いを巡らせる。もう夜の8時だというのに、今からホームセンターまで、サムターン回しを回避するため防犯グッズを買いに行くと言い張る。昨日狙ったマンションのすぐお向かいのマンションを狙うバカな空き巣は居ないよと母はのんきに笑っているが、父はすぐにでも対策をしないと不安らしい。その気持ちだって長持ちしないのだから、余計な出費をしない方がいいと思うのだが。

お向かいのマンションは古いから、ドアにポストがついている。そのポストから器具を入れられサムターン回しで鍵を開けられたようだが、うちのドアにはポストはない。その場合はドリルなどでドアに穴を開けて、そこから器具をさし込んでサムターン回しをして鍵を開けることになるが、ドアにドリルで穴を開けている段階で、ほとんど家にいるお母さんか僕らが気が付くはずだ。それにこんな安っぽいマンションに、わざわざ手の込んだ危険を犯してまで入ろうとするだろうか。

結局防犯グッズは売っておらず、何も買ってこれなかったお父さんは、ペットボトルを加工してサムターン回しを回避する装置を自分で作ると頑張っている。